(摂食障害)過食症になる原因

摂食障害/過食症




  なぜ「過食症」になってしまうのか。どうして身体をいためつけてまで
  普通とは違う食行動をとってしまうのか。これについてはいまだに解明
  されていないのが現状です。

  社会的に認知されるようになってからまだ年月が浅い病気であるうえに、
  背景には非常に多くの要素が複雑に絡みあっているのです。

  いままでの仮説の中には、その原因が幼い頃の親子関係(おもに母親との
  関係)にあるというものや、成熟した女性になりたくない願望などがあり
  ました。

  これらは大雑把にいってしまえば幼児期に問題があったため大人になりき
  れない、または母親とおなじような女性になりたくないなどと解釈するも
  のでした。

  しかし、摂食障害の主原因をそれだけにもとめるという考え方は正しくあ
  りません。この仮説により、多くの患者さんやご家族の方がつらい思いを
  なさっているのではないでしょうか。

  これまでの子供の育て方や、幼いときの両親とのかかわり方を振り返って
  考えるのは時として大切なことではありますが、「摂食障害になったのは
  母親の育て方が悪かったからだ」と表面的に解釈してしまうのは誤りであ
  るとともに危険なことといえます。

                   ◆

  現在、さまざまな仮説があり原因が研究されていますが、その中のひとつ
  にその人のパーソナリティ(この場合、物事の捉えかた・行動の仕方のパ
  ターンなど)が大きく関係しているという説があります。

  さらにこのパーソナリティというものも「遺伝的」な影響をうけるものと
  「環境的」な影響の強いものに分けられ、それらいくつかの因子が組み合
  わされることによりその人の性格が形成されているといわれます。

  これらの要素のほか、人間関係をつくりあげる力がまだ育っていなかったり
  自分なりの価値観が確立されていないときなどに強いストレスがかかると、
  それらを受けとめることができず自己が傷つき壊れてしまうことがあげられ
  ます。

  また、本人は自立をする力やコミュニケーション能力が潜在的にあるにもか
  かわらず、家庭環境などによってそれが阻害されているため発揮できずに、
  エネルギーが内に向かってしまうなども考えられます。

  いずれにしても、摂食障害の原因はひとつに特定できるものではなく様々な
  要素から作り上げられた性格、社会的背景、生活環境、個人的体験、生育歴

  (参考文献)  「やせ願望の精神病理」 水島広子 著

  ⇒ 過食症になると何をどのくらい食べるのか




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